夜にもやさしいカフェインレスコーヒーとは?庵のブラジル・デカフェで解説
「夜にコーヒーを飲むと眠れなくなる…」
「カフェインが少し気になるけど、コーヒーはやっぱり好き。」
そんな方にぜひ知ってほしいのが、カフェインレス(デカフェ)コーヒーです。
焙煎香房・古具 庵にも、このたび初めてのカフェインレスコーヒーが仲間入りしました。
ブラジル産の豆を丁寧にデカフェ処理したもので、実際に試飲してみると、
「え、これ本当にデカフェ?」
と思ってしまうほどでした。
これを機に、今回はデカフェについて少し掘り下げてご紹介していこうと思います。
そもそもデカフェとは何か?
デカフェは「decaffeinated」の略で、もともとカフェインが含まれている飲料からカフェインを除去したものです。
コーヒーが有名ですが、お茶もデカフェのものがありますね。
この「カフェインをどうやって抜くか」という除去の仕方がポイントで、一昔前の方法はどうしても風味を犠牲にしてしまうものでした。
しかし最近は技術が進歩し、風味をできるだけ維持しつつ、カフェインのみを上手に抜き取る方法が確立されてきました。
その1つが、今回取り上げる「マウンテンウォータープロセス」です。
マウンテンウォータープロセスとは?
マウンテンウォータープロセスは、メキシコのDESCAMPEX社によって開発された、化学薬品を一切使用せず、水と天然の山水(氷河水)を利用してカフェインを除去するデカフェ(カフェインレス)製法です。
カフェイン抽出に化学薬品(有機溶媒)を使用しないため、薬品が残る心配がなく、安全性が高いとされています。
この方法によって、97%以上のカフェインが除去されるとされており、コーヒーの風味を楽しみつつも、カフェイン摂取をかなり抑えられるというわけです。
ちなみにこのマウンテンウォータープロセス、どうやら特許を取得しているようです。
なのでこのプロセスでカフェインを抜きたいなら、どの国の豆でもまずメキシコへ…ということになるようです。
生産国→メキシコ→生産国→輸出…というプロセスを経るので、どうしても他の豆よりも高くなってしまうんですね。
そもそもコーヒーに含まれるカフェインの含有量ってどう考えるの?
ここからは、少しだけ専門的な話をしましょう。
リンゴに赤リンゴと青リンゴがあり、さらに赤リンゴはふじや紅玉、ジョナゴールドといった種類があります。
青りんごで有名なのは王林ですね。
ご存知のように、これらは「品種」という概念でそれぞれ分類することができます。
リンゴは一旦置いておいて、コーヒーに戻りましょう。コーヒーにもさまざまな品種がありますが、大きく3つの品種に分けることができます。
これらは「コーヒーの三大原種」として知られています。便宜上ここでは以降リベリカは割愛します。
アラビカ種は風味に優れている一方で栽培条件が難しく、さらに細かくティピカ、ブルボンといった品種に分類できます。
カネフォラ種はアラビカより栽培しやすいものの、風味はやや劣るとされ、ロブスタ種が有名です。
カフェインの含有量に注目すると、実はカネフォラ種のほうがアラビカ種より多いということが分かっています。ざっくりですが、約2倍と考えてください。
つまり、生産国によってカフェイン量が大きく変わるのではなく、「アラビカorカネフォラ」のどちらか?によって変わってくるのです。例えば、華やかなモカ(エチオピア産アラビカ)より、深煎りマンデリンのほうがカフェインが多い、というわけではありません。
でも深煎りのほうがカフェイン多いんでしょ?
これは「Yes」でもあり「No」でもあります。
正確には、「コーヒー一杯あたりに含まれるカフェイン量は、使う豆の重さが同じであれば深煎りのほうが多くなる」というイメージです。
結論から言うと、焙煎の前後で、豆一粒に含まれるカフェイン量はほぼ変化しません。
最初、豆一粒に含まれるカフェイン量を10とすると、いくら深く焼いても10のままです。50になったり、極深煎りで100になったりはしません。焙煎過程で起こる化学反応において、カフェインが消費・生成される反応は起こらない、ということです。
変わるのは「重さ」です。豆一粒の最初の重さを10とすると、深煎りまで焼くと8くらいになります。焙煎過程で水分が抜けて、軽くなるんですね。
さてコーヒーを淹れるとき、豆の種類によって一杯あたりに使う豆の量を変えている方は、そう多くないと思います。
ここでは一杯あたり12gの豆を使うと仮定しましょう。
同じ種類の中煎りの豆と深煎りの豆、どちらも12gとるとき、豆の数はどちらが多いでしょうか?
深煎りのほうが軽くなっている分、12gにするために必要な豆の数は深煎りのほうが多くなります。
豆一粒に含まれるカフェイン量は焙煎で変化しないことを考えると、豆の数が多くなる深煎りのほうが、必然的にカフェインの量も多くなる──というカラクリなんです。
カフェイン抜いちゃったコーヒー、そもそもおいしいの?
ここで、デカフェの話に戻りましょう。
カフェインは、風味としては「苦み」を形成する成分のひとつと言われています。
そのため、デカフェ処理していない豆と同じ焙煎度で焼くと、デカフェ処理したほうが苦みは少なくなっているはずです。
ただし、あくまで成分の一つなので、「デカフェにしたから苦みが全くなくなる」「コーヒーの風味じゃなくなる」ということはありません。
実際に私も、今回のブラジル・デカフェを深煎りで焙煎・試飲してみましたが、しっかりとコーヒーの味がしました。
昔飲んだカフェインレスコーヒーにありがちな、独特の違和感のある風味やにおいも感じませんでした。
ただ、コクはややすっきりしています。ちょうど、中米・カリブ海エリアのコーヒーを深く焼きすぎちゃった、みたいな印象に近いかもしれません。このエリアのコーヒーは「軽さ」が持ち味で、深く焼くと風味が飛びやすい性質があります。
苦み成分でもあるカフェインを抜いた結果の風味、と考えると、なるほどと腑に落ちる味わいでした。
おいしいカフェインレスコーヒーをお求めの方は、ぜひ庵のブラジル・デカフェをご利用ください。
「夜でもコーヒーを楽しみたい」「カフェインを控えたいけれど、ちゃんとおいしい一杯が飲みたい」という方に、ぜひ一度お試しいただきたいカフェインレスコーヒーです。
もちろん、焙煎前にしっかりと洗浄を行い、よりクリーンなカップになるように仕上げています。
庵のデカフェは、ブラジルの名産地カルモ・デ・ミナスのコーヒーをマウンテンウォータープロセスでデカフェ処理した豆です。
というわけで、今回はデカフェコーヒーについてご紹介しました。